そんな中、明宏がふと思い出したように顔を上げた。
「そう言えば、久子さんについてはどうなった？」

「え？　あれは結局ネットのデマでしょう？　学校に久子さんっていう生徒も先生もいなかった」
「だけど、ソンビウイルスは街中に広がってる。もしかしたら発端は学校じゃなかったかもしれない」

明宏の言葉に千歳は目を丸くした。
そんなこと、考えてもいなかった。

ずっと学校内で過ごしていたから、学校内でウイルスが蔓延してそれが外に広がったと、思い込んでいたのだ。
「それじゃ、久子さんは学校関係者じゃないかもしれないってこと？」

「そうかもしれない。もう１度、よく調べてみよう」
明宏に言われて、千歳はまたスマホに視線を落としたのだった。