喉がカラカラに乾いているけれど、ここには飲み物や食べ物はなさそうだった。
そういうものがないから、人の姿もないのだろう。

「うぅ……」
明宏が小さくうめき声をあげて頭を抱える。

「大丈夫?」
顔をライトで照らしてみると、青ざめている。
徐々に皮膚がただれていくのがわかった。

ゾンビ化が始まってる!
千歳は慌てて明宏をこちらへ向かせた。
両頬を包み込むようにしてキスをする。

冷たすぎる体温が唇を通して伝わってきて、寒気がした。
「……ありがとう」

唇を離すと明宏がホッとしたように呟く。
「どうしてそんなに優しくしてくれるんだ?」
安堵したばかりの顔が歪む。