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走って走って、どれくらい走っただろうか。
ようやく足を緩めたときには周囲はもう暗くなっていた。

時折遭遇するソンビたちを攻撃したり、かわしたりしながら学校からどうにか遠ざかることに成功していた。
「今日はここで休もう」
明宏が提案したのは町工場だった

広い敷地内には倒れている人たちの姿が見える。
スマホのライトで照らしてみると、そのほとんどがゾンビ化した人たちだとわかった。

みんな頭から血を流していたり、内臓が飛び出たりしていて完全に死んでいることがわかった。
重たい扉を開けて工場へ足を踏み入れてみると、なにに使うかわからない大きな機械があちこちに置かれていた。

いつもはここで作業している人たちがいるのだろうけれど、グルリと確認してみても誰の姿もなかった。
ふたりは入り口から離れた場所に座り込んだ。

ずっと走って逃げていたから、足が痛くて息切れもしている。