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1階の保健室の前を通りかかった時、そのドアが開いていることに気がついた。
千歳は一旦足を止めて中を確認する。

保健室の中は床にも天井にも血が飛び散っていて悲惨な状態になっていた。
思わず両手で口を覆う。
青葉と育美はどうしただろう。

あれは誰の血だろう。
考える余裕もなく、後ろから明宏に腕をひかれた。

振り向くと外に通じる窓が開けられている。
その向こうにはゾンビの姿はなかった。

「ここから出よう」
「う、うん……」
ふたりのことが気になったが、きっと助かってはいないだろう。

化学室にいたときにドアを開けようとしてたゾンビがいた。
ふたりはそれを人間だと勘違いして、鍵を開けてしまったのかも知れない。