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とにかく今は外へ出ることを考えないといけない。
明宏はバーナーを握りしめてトイレのドアを開けた。

廊下には数体のゾンビたちが徘徊している。
その名に田中と真那の姿を見つけて息を飲む。

ゾンビになったふたりは肩を並べて徘徊しているのだ。
「ゾンビになってもあんなに仲がいいなんて」

呟く明宏に千歳もふたりの存在に気がついた。
ふたりで教室から出たものの、結局ダメだったみたいだ。
だけど今のふたりの様子を見ていると羨ましさを感じる。

自分たちはあそこまで心が通じ合っていなかった。
「そうえいば、他のみんなはどうしたの?」

思い出して千歳が質問すれば、明宏は「わからない」と、左右に首を振った。
「若葉を連れて戻ったら、育美に追い出されたんだ。だから、その後どうなったのかわからない」