しかしその声は村上には届かない。
「私達、化学室で爆弾を作ってたの。それを使うんだと思う」
《おそらく、大きな爆発になります。できれば学校からの脱出を推薦します》

「え……?」
千歳が目を見開いたのを見て明宏が首を傾げる。

「私達が作ってたのは小型爆弾だよ。ゾンビへ向けて投げつけることで爆発するようにしてた。学校ごと爆発するなんて聞いてない!」

きっと、千歳が化学室から出てから村上は方針を変えたんんだろう。
大きな爆弾をひとつ作り、それを使うつもりだ。

「学校内のゾンビを一網打尽にするつもりだな」
「そんなことできるの?」

「わからない。でも、多少は効果があるんじゃないか?」
「そうだとしても、そんな材料はなかったはずだけど……」

大きな爆弾を爆発させるのなら、村上だって逃げる時間が必要になってくる。
そう考えた時寒気で背中が震えた。

もしも逃げる気がなかったら?
そう考えたのだ。
「千歳、大丈夫か?」

顔色が悪くなった千歳に明宏が声をかける。
千歳はどうにか頷いたのだった。