千歳はゴクリとツバを飲み込んだ。
「わかってる。明宏がゾンビになったら、私がまた人間に戻す」

それは簡単なことじゃないことはわかっている。
これから先ずっとキスで人間に戻し続けることができるなんて思っていない。

だからとにかく、前に進むしかない。
そう思ったときだった。
突然校内に放送案内のチャイムがなり始めたのだ。

ピンポンパンポーンと間の抜けた音が聞こえてきてふたりは顔を見合わせる。
《あーあー、聞こえていますか?》

その声は村上だ。
《学校にいる生き残りの皆様にお知らせです》
スピーカーに乗って聞こえてくる声はノイズまじりだ。

《今から30分後、学校を爆発します》
「なんだって!?」
明宏が思わず声を上げる。