若葉の体が横に転がり、そのすきに明宏の手をつかんで引き起こした。
明宏の首筋が赤く濡れているのを見て千歳は顔をしかめる。

一歩、遅かった……。
徐々に顔色が悪くなってくる明宏に千歳は唇を寄せた。

明宏の唇は今まで感じたことがないほどに冷たい。
それはすでに人間のものではなかった。

「あ、ありがとう」
我に返るように人間に戻った明宏がまばたきをして千歳を見た。
千歳は小さく頷いてから「行こう」と、その場から逃げ出したのだった。