彼女とふたりで教室を出たものの、やはりゾンビ化を止めることはできずに逃げてきたのかも知れない。

村上がそっとドアを開けて廊下の様子を確認したとき、そこには思いもよらぬ人物がいた。
「助けてくれ!」

教室から顔を出した村上に気がついて声を上げたのは明宏だったのだ。
明宏の後ろにはゾンビ化した若葉が迫ってきている。

明宏は片手にバーナーを持っていて時折振り向いて若葉へ向けて噴射する。
ゴォォと音を立てる炎に若葉は一瞬ひるむものの、すぐに体勢を立て直して追いかけてくる。

「俺をそこに入れてくれ!」
明宏がドアに手をかけた。