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透明な筒の中に次々と花火の火薬を入れていくのは村上の役目になった。
千歳は花火をバラして、火薬をテーブルの上に山にしていく。

もくもくと作業を続けている間にも外ではゾンビたちが徘徊する音が聞こえてくる。
ふと、あれから明宏はどうなっただろうかと考えた。
若葉は何度かソンビに戻ったかもしれない。

その都度キスをして人間に戻しているかもしれない。
そう考えて嫌な気持ちが湧き上がる。

明宏はリスクの高い若葉と一緒にいることを選んだんだ。
そんな人のことを今更考えたって仕方ないのに。

「少し休憩しようか」
村上に肩を叩かれて千歳は手を止めた。

指先が火薬臭くなっている。
「まだ、疲れてないけど」
「黙って作業してるときの千歳、すっげー怖い顔になってる」

指摘されて千歳は自分の頬を両手で包み込んだ。