明宏に言われるがままに足を前へ出す千歳。
もうすぐ救急車だって来てくれるはずだ。
そうすれば自体は収束する。

そう、思っていたのに……。
1階へおりてきたふたりの前に立ちはだかったのは防火扉だったのだ。
それは普段閉められることのない頑丈な扉で、昇降口を塞いでしまっている。

「誰か、開けてくれ!」
男子生徒が防火扉を叩いて叫んでいる。

「開かないの?」
千歳と明宏が駆けつけると、男子生徒は青ざめた顔で何度も頷いた。
試しに3人がかりで扉を開けようと試みるけれど、ビクともしない。

頑丈に鍵がかかってしまったようだ。
解錠しようとした明宏が目にしたのは暗証番号を入力するパネルだった。
「先生に聞けばわかるかも」