村上が田中の腕を後ろから掴むけれど、振り払われてしまった。
田中は村上へ刃の先端を移動移動させる。
村上は思わず両手を上げて降参のポーズをとった。

「おい……本気かよ」
「あぁ、本気だ。邪魔するならお前も刺す」
田中の目は見開かれてギラギラと光っている。

もう自分の彼女を人間に戻すことしか考えられないみたいだ。
「でもできない。あんな状態のゾンビにキスなんて」
怯える千歳にまた包丁の刃を向けた。

千歳の背中にはぐっしょりと汗が流れて、鼓動は早くなっていた。
この教室に来れたときには嬉しさを感じていたけれど、こんなことになるなら来なければよかった。