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「よく彼女をここに連れて来られたね」
千歳は椅子に座り、菓子パンをかじっていた。

食料も飲料も十分にあるからと、分けてくれたのだ。
普段は怖いイメージのふたりだったけれど、こんな状況だからか協力的だった。

「ゾンビはそれほど強くないだろ。後ろから羽交い締めにすれば簡単に拘束できた」
田中にそう言われて千歳は頷いた。

今までに自分が見てきたゾンビたちも、たしかにそれほど強いとは思わなかった。
田中と村上にかかれば拘束するくらいわけなかったに違いない。

「ご飯ありがとう。お腹ペコペコだったんだ」
菓子パンを食べ終えて人心地つく。

「それで? 藤中はどうしてここに来たんだ?」
村上に質問されて喉をつまらせてしまいそうになった。
今まで保健室にいたことはすでに話してある。