「やっぱり、ゾンビは火に弱いの?」
「そうみてぇだな。バーナーを向けたらすぐに逃げ出す。攻撃する必要がねぇ」

会話している途中で教室後方の掃除道具入れからガタンッと大きな音が聞こえ来て千歳は視線を向けた。
ロッカーがガタガタと揺れている。
「あれはなに?」

「あぁ……あれは……」
村上が説明しようとしたとき、田中が立ち上がってロッカーへ向かって歩いていった。

千歳は好奇心からその後をついていく。
「残念だけど、俺の彼女は感染した」
田中がそう言ってロッカーを開けると中には体をロープで縛られた女子生徒が直立していた。

口には布が噛ませてあり、両足も縛ってある。
肌はただれて青白く、目は灰色に濁っていて千歳を見てもなんの反応も見せなかった。
ただ前へ歩くという行為だけを続けているようで、ロッカー内でガタガタと体を揺らしているのだ。