「友達? 本当にそれだけの感情なの?」
絶対に違うと言い切れる。

明宏は千歳に優しかった。
常に最優先してくれていた。
だから盲目になってしまったんだ。

なにも気が付かない間に若葉と明宏の距離は近づいていたのに!
「誤解だ千歳。俺たちの間にはなにもない」

「そうだよ。少しはいいなって思ったこともあるけど、それだけ」
若葉の言葉に耳を疑った。

「なにそれ。やっぱり明宏に気があったんじゃん!」
「そうだよ? だけど明宏は千歳の彼氏だから、これ以上の距離は詰めなかった。ちゃんとわきまえてたけど?」

まるで開き直ったような言葉だ。
千歳の胸にふつふつと黒い怒りがこみ上げてくる。
今までずっと友達だと思っていた。