しばらく思案していた明宏だったけれど、小さく左右に首を振った。
「やめといた方がいいと思う。こんなに強い人がゾンビに戻ったら、今度は対応できないかもしれない」

「そっか……」
「それより、気になったんだ」

「なにが?」
「もしも書き込みの通りに久子って人が関係していたとして、その人自身は平気なのなかって」

「どういう意味?」
千歳は首を傾げた。
「久子って人だって、ゾンビに襲われて感染するかも知れないだろ? そのリスクを犯してまでこんなことはしないんじゃないかと思ったんだ」

「もしも久子って人に感染リスクがなかったとしたら?」
千歳は自分でつぶやいてハッとした。

そうだ。
このウイルスをばらまいた人がいるとするなら、その人には感染リスクがない可能性がある。