今どき印刷してファイリングしているなんて珍しい。
メモリーを持ち歩いて紛失しないようにだろうか。

なんにせよ、こうしてアナログで保管されているから手間がかからずに名簿を見つけ出すことができたんだ。
ふたりはその点に感謝しながらファイルをめくった。

入学者の写真と共に名前や住所、緊急連絡先などが記載されている。
名前だけ確認していけばいいものの、生徒数の多いモンスター高校なのでそれでも時間がかかってしまう。

明宏は乱暴にページをめくり続ける。
「久子って名前の子はいないね」
半分ほど確認し終えたところで千歳が呟いた。