階段の上に立っていたゾンビは足を滑らせて落下する。
踊り場まで落ちたゾンビはそのまま動かなくなった。

「階段は有利かもしれない」
明宏がつぶやく。

それからも襲いかかってくるゾンビたち数体を階段から突き落とすと、ふたりはようやく2階へ登り切ることができた。
職員室は右へ曲がってすぐだ。

短い廊下には誰の姿もなくて、すぐに職員室へたどり着くことができた。
「よかった。鍵も空いてる」

千歳が職員室のドアに手をかけて引く。
ガラガラとかすかな音を立てて戸が開くと、そこには荒れた職員室があった。

いつもは整然と並んでいるデスクは倒れたり傾いてたりしているし、床にはやるはずだったテスト用紙が散らばっている。
そっと足を踏み入れてみれば紙を踏んでガサガサと音が鳴った。
「できるだけ足音を立てるな」