千歳は明宏からモップを受け取り、大きく息を吸い込む。
今までは1階だけで行動していたから、廊下の奥まで見渡すことができた。

だけど今度は2階へ行かないといけない。
階段は途中に踊り場があり、折れ曲がっている。

ゾンビがいるかどうか目視で確認することはできない。
階段を登りきったあとの廊下もそうだ。

2階にどれだけの体数がいるのかわからない。
こんな状態で2階へ向かうなんて無謀だと、千歳だってわかっていた。

心臓は緊張と恐怖で早鐘を打っているし、さっきから呼吸が乱れている。
それでも、可能性にかけて行くしかない。

「行こう」
明宏の言葉に千歳は大きく頷いたのだった。