千歳は青葉の体を支えるようにしてベッドへ向かう。
その間にも青葉は「私は大丈夫だから」と繰り返している。

とても大丈夫そうには見えない。
どうにか青葉をベッドに横にならせると、千歳は薄いカーテンをしめた。

そして座って雑誌を読んでいる育美へ視線を向ける。
育美は千歳の視線に気がついて顔をあげた。

「なに?」
「青葉のこと、ちゃんと見ててよ」
「わかってるって。そんな怖い顔しなくてもちゃんと見てる」

育美への信用はなかったけれど、今はその言葉を信じるしかない。
ドアへ視線を向けると明宏がモップを2本持って千歳のことを待っていた。
「おまたせ」