ついで千歳も手を上げた。
「青葉はここでもう少し休んでて。育美はここで青葉を守って」

千歳の言葉に育美は肩をすくめて頷いた。
一応は自分の役割に納得したみたいだ。
そしてすぐに興味を失ったように先生の椅子に座ると机のまわりにある雑誌に手を伸ばした。

「待ってよ、私も行く」
準備を始める千歳と明宏に青葉が声をかけてくる。
青葉の頬には涙の後がくっきりと残っているし、まだ顔も青ざめている。

一緒に連れて行くわけにはいかなかった。
「ダメ。青葉はここにいて」
千歳は言い聞かせるように青葉の手を握りしめる。

少し震えているのが自分の手なのか、青葉の手なのかわからなかった。
「お願い千歳私も連れて行って」
「青葉落ち着いて。もうすこし横になって、できたら眠って」