「だったらどうしろっていうんだよ!」
空気が張り詰めて苛立ちが募る。

千歳は慌ててふたりの間に割って入った。
「誰かに責任を押し付けてる場合じゃないよ。とにかく、今はもう少し情報を集めてみようよ」

言い争いをしていたってなにも始まらない。
教室から出たからこそ、ベッドで横になることができるようになったと前向きに考えないといけない。

幸い保健室にはスマホの充電器が残されていた。
きっと、先生の私物だろう。

千歳はすぐにスマホを充電しはじめた。
充電しながらネットでこの街のことを調べる。
けれど出てくる情報はどれも最新のものではなく、憶測や動画配信者についてのことばかりだ。