と、そのときだった。
最後尾をついてきていた若菜が突然悲鳴を上げたのだ。

「若葉!」
青葉が声を張り上げる。
明宏たちが振り向いた時、若葉が後方からゾンビに襲いかかられていた。

持っていたモップは床に落ちている。
咄嗟に青葉がゾンビに攻撃を加える。
若葉に掴みかかっていたゾンビはいとも簡単に倒れ込んだ。

だけど念には念を入れて何度もモップを打ち付けた。
「もう大丈夫だと思うよ」
千歳にそう言われるまで青葉は攻撃を続け、ようやく手を止めた。

全身にぐっしょりと汗が滲んで呼吸が乱れている。
床には倒れたゾンビと、若葉が横倒しになっていた。

その首元からは血が出ている。
「嘘でしょ若葉……」