音を立てずにそっとドアを開けたのはこれが初めてのことだった。
明宏を先頭にして千歳、育美、そして青葉と若葉が続いた。
一応朝食はしっかりとったけれど、緊張のせいであまり食欲はわかないままだった。

「今なら大丈夫そうだ」
廊下に顔を出して確認した明宏が見を踊らせて教室から出る。

すぐに千歳たちもそれに続いた。
数体のゾンビたちの姿は見えたけれど、夜に感じていたほどの体数ではない。

みんな、何かのもの音を聞きつけて移動したのかもしれない。
この絶好のチャンスを逃すわけにはいかなかった。

5人は足音を潜めながら、それでも早足で移動する。
昇降口はすでに塞がれていることがわかっているから、目指すのは外へ出るための窓だった。

廊下を素早く移動しながら、窓の外の様子をしっかりと確認する。
比較的ゾンビたちが少ない場所があれば、そこから出るのだ。

しかし、今は外にいるゾンビの体数の方が圧倒的に多いことに気がついた。
このままじゃ外に出ることができない。
明宏の額に汗が流れていく。