だけど言いたいことはわかる。
「私、おばあちゃんにも反抗的で、全然謝れてなくて。なのに何度電話しても出てくれなくて!」

「それで気が立ってたんだね」
青葉が育美の体を抱きしめて優しく背中を擦る。
育美が両親に捨てられていたことも、祖母に育てられていたことも初耳だ。

傲慢でわがままな育美だけれど、色々と苦労してきたんだろう。
「いつかお礼を言おうと思ってたのに、こんなことになるんて」

「わかるよ。みんなそういう後悔を今してると思う」
育美は青葉の言葉に何度も頷いた。
少し落ち着いてきたみたいだ。

それを見計らったように明宏がモップを握りしめた。
「ここを出よう」
突然の提案に一瞬教室の中が静になる。

だけど知能があるゾンビがいるとわかった時点で、みんななんとなく感づいていたことだった。
「家に帰るの?」