家に帰りたいのはみんな同じだ。
だけど帰ることができないからここにいる。

わかりきったことを言う育美に青葉が近づいた。
昨晩しっかり眠ったおかげか、顔色がよくなっている。

「なにか、あったの?」
青葉が育美の肩に手を置く。
と、同時に育美はその場に崩れ落ちてしまった。

両手で顔をおおって泣き始める。
「家に……おばあちゃんがいるの」

「1人で?」
育美は何度も頷く。

「私……両親に捨てられて、いらない子供だったの。だけどおばあちゃんがずっと一緒にいてくれて、だから……」
育美の言葉は支離滅裂だった。