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夜になってもゾンビの徘徊は止まらない。
廊下からも窓の外からも足音が聞こえてくる。

千歳は窓の近くに椅子を持ってきてカーテン越しに窓の外を確認した。
この付近を徘徊していたのはほとんどが生徒か先生のゾンビたちだったけれど、今ではスース姿の男性だったり、エプロンをつけた女性の姿も増えている。

ゾンビたちは際限なく歩き続けて疲れを知らない。
だから学校内にも簡単に迷い込んでくるんだろう。
一体、今学校にはどれくらいのゾンビたちがいるんだろう。

廊下へ出るだけでも一苦労する中、信じられない数のゾンビたちがいてもおかしくはなかった。
不意に、誰かに連絡を取りたくなって千歳はスマホを取り出した。

手元に充電器がないため慎重に使っているのだけれど、嫌でも充電は減っていく。
一番連絡を取りたい両親からはなんの連絡も来ていない。
これだけゾンビ化が進んでいるから、もうとっくに人間ではなくなっているかもしれない。