千歳の質問に先生は渋い顔を浮かべた。
「早くても数年かかると思う。緊急事態だから開発はトントン拍子に進むかも知れないけれど、そうなると副作用の影響がどうなるか不安が残るし……」

途中から独り言のようになって呟いている。
とにかく、この街から出られるようになるのを待つのは得策ではないというわけだ。

数年間も同じ街にいれば食料だって尽きてしまう。

国が用意してくれたとしても、ゾンビだらけの街の中で出ていって食料を確保することができるかどうか、自信がなかった。
「キスをしてバリケードまでの道筋を作るのだって簡単じゃないよね?」
そう言ったのは若葉だった。

確かに、全然現実的じゃない。