空き教室へ戻った千歳はトイレでの出来事を3人に話して聞かせた。
「すごいぞ、あの情報は本当だったんだ!」

見えた希望に明宏が興奮気味に言う。
「なんのことかわからないんだけど、でも少しずつ思い出してきたわ」

先生がペットボトルのお茶を飲んで言う。
「なにを思い出したんですか?」

質問したのは青葉だ。
四条姉妹は先生が教室に来てから表情が明るい。
ここには生徒しかいなかったから、安心したんだろう。

「自分がゾンビになってからのことはなにも覚えてないの。だけど、1人の男子生徒に襲われたことは覚えてる」
先生はそう言って自分の首筋に手を当てた。

そこには痛々しい傷跡が残っている。
「その子は廊下をフラフラ歩いてて、すごく顔色が悪かったから声をかけたの。そしたらいきなり噛まれたのよ」