水で丁寧に顔を洗い、汚れた白衣を脱いで水洗いしていく。
「せ、先生……」

千歳がつぶやくように声をかける。
先生はこちらを向いて「どうしたの? 今日はテストの日よね?」と質問してきたのだ。

その口の中にやけに伸びた犬歯は見当たらない。
人間に戻ってる!
千歳は信じられなくて大きく息を吸い込んで両手で口元を覆った。

「そんなにびっくりした顔をして、どうしたの?」
先生は怪訝そうな顔で首を傾げたのだった。