本当だろうか?
今更育美の言葉を信じるのもバカバカしい。

だけど死ぬまでに処女を捨てたいという考え方は育美らしいと感じた。
「とにかく無理だし、早く戻ろう」
千歳がドアへ向けて歩き始めた時、不意に足首を掴まれた。

視線を落とすと先生が手を伸ばしているのが見える。
意識を取り戻したんだ!
そう思ったが、先生はそれ以上襲ってこないし顔を上げることもなかった。

無意識の内に動いたのかも知れない。
千歳は手を振り払おうと足を振る。
しかし先生の手はしっかりと千歳の足首を掴んでいてなかなか離してくれない。

「もう、やめてよ……」
仕方なくかがみ込み、先生の指を一本一本外していく。