と、呑気に手を洗っている。
もういい。
育美には何を言っても通じないんだ。

他人を自分の都合のいい道具くらいにしか考えてないんだろう。
千歳はため息を吐いて廊下へ出ようとした、それを引き止めたのは育美だ。

「ねぇ、ちょっと待って」
「まだなにかあるの? トイレは終わったんでしょう?」

「そうじゃなくてさ。ほら、動画の内容を覚えてる?」
聞かれて千歳はキスをしたら人間に戻ったゾンビの姿を思い出していた。
「覚えてるけど」