見張っておいてと言われたからには、自分は後から行くしかない。
育美のわがまま勝手柄な性格にはため息ばかりはいている気がする。

千歳はふと武器も持たずに教室を出てきたことを思い出し、掃除道具入れからモップを取り出した。
水分が抜けきっていないモップは少し重たい。

と、そのときだった。
ガンッ! とドアを叩く音が聞こえてきて振り向いた。
ドアが開く気配はない。

けれどガンガンと今度は立て続けに2回叩く音が聞こえてくる。
もしかして生存者だろうか。

助けを求めてドアを叩いているのかもしれない。
そう思った千歳はトイレの白いドアに近づいた。