みんな我慢しているが、教室の隅で空になったペットボトルにしているのだ。
けれど育美はペットボトルに用を足すなんて考えられないことなんだろう。

トイレに行くだけで死の危険があるということなのに、育美のマイペースさは変わらない。
これが根っからの性格なんだろう。

千歳は四条姉妹に音を立てるようにお願いして、ゾンビたちほ後方のドアの付近へ集めてもらった。
そのすきに育美とふたりで教室を出る。
急いで女子トイレまで走ってドアを閉めると、ホッと息を吐き出した。

とにかく部屋の中へ入ってしまえばソンビたちが襲ってくる心配はない。
「ちゃんと見張っててよ」
「言われなくてもそうするって」

呆れながら返事をする。
千歳はついでに自分もトイレに行くつもりだったけれど、当然のように育美が先に個室へ入ってしまった。