それくらい感覚的に長い時間をここで過ごしていた。
『見ていてください』
配信者はそう言うとカメラから身を離してソファへと近づいた。

そこにはまだ唸り声を上げている女子生徒の姿がある。
少しでも近づいたら噛まれてしまいそうな距離に、見ている方がハラハラしてしまう。
配信者は何度か少女から噛みつかれそうになりながらも、そっと身を寄せた。

そして、なんと少女へ向けてキスをしたのだ。
大きく開かれた口の上唇に、配信者の唇が触れる。
その後チュッとリップ音がして配信者は少女から身を離した。

「なにこいつ、自分の彼女がゾンビになって気でも狂ったんじゃないの?」
育美が嫌悪して顔をしかめる。

けれどそれには誰にも答えずにスマホ画面を見つめていた。
『見てください、ほら!』
配信者が再びカメラを手にして少女の姿を写す。