足になじまないほどのふかふかな、赤い絨毯の敷かれた廊下。
その先にあるのは、廊下にそって両側に扉が二つずつ、突き当りにひとつ。
「えっと……」
おろおろしていると、一番手前の扉が開く。
中から初老の男性が出てきて、こちらに向かって腰を折った。
「氷室依恋様で、ございますね?」
「はい……」
震えるような声で答えると、男性は口角を上げる。
その笑みが無機物のように見えて、背中がぞくりと粟立った。
「どうぞ、こちらへ」
促され、一度深く呼吸をした。
尻込みしたい気持ちに抗って、一歩ずつ扉に近づく。
やがて開いた扉の前までたどり着くと、中も見ずに頭を下げた。
「失礼いたします」
緊張で肩は吊り上がり、微かに震えている。
「どうぞ、入って」
悠賀様の声色は優しい。
けれど、私は動くことができずに固まった。
「そんなに怖がらないでよ。ほら、顔を上げて」
「は、はい……」
私は、恐る恐る顔を上げた。
その先にあるのは、廊下にそって両側に扉が二つずつ、突き当りにひとつ。
「えっと……」
おろおろしていると、一番手前の扉が開く。
中から初老の男性が出てきて、こちらに向かって腰を折った。
「氷室依恋様で、ございますね?」
「はい……」
震えるような声で答えると、男性は口角を上げる。
その笑みが無機物のように見えて、背中がぞくりと粟立った。
「どうぞ、こちらへ」
促され、一度深く呼吸をした。
尻込みしたい気持ちに抗って、一歩ずつ扉に近づく。
やがて開いた扉の前までたどり着くと、中も見ずに頭を下げた。
「失礼いたします」
緊張で肩は吊り上がり、微かに震えている。
「どうぞ、入って」
悠賀様の声色は優しい。
けれど、私は動くことができずに固まった。
「そんなに怖がらないでよ。ほら、顔を上げて」
「は、はい……」
私は、恐る恐る顔を上げた。