「なに~~~~っ!?」

 叔父様は腕を自由にしようとあがき、顔を真っ赤にしている。

「すべて調べさせていただきました。立花家が、依恋にした仕打ちを。彼女がこんなに笑わなくなるまで、あなたたちがしたこと」

 はっと悠賀様の方を向く。
 彼の横顔は、真剣だった。

「私は許さない。彼女の笑顔を奪ったこと。彼女を変えてしまったこと。一人の人間を寄ってたかって除け者にしようとするその姿勢、財閥のトップとしての在り方を疑いますね」

「お前に私の何が分かる!?」

「分からないですよ。分かりたくもないです。誰かを目の敵にしなければ、自分の優位を感じられないような人間に、私はなりたくありませんから」

「貴様~~~~っ!?」

 叔父様は、まだまだ暴れそうだ。
 けれど悠賀様はそちらを気にも留めず、私の耳元で囁くように言う。

「依恋、僕と共に行こう。君がいるべき場所は、ここじゃない。そうだろう?」

 悠賀様の方を振り向いた。
 大好きな笑顔が、間近にある。
 それだけで、幸せで、胸がいっぱいになって――

「はい」

 あふれ出した涙と共にそう答えると、悠賀様は満足そうに笑った。