立ち上がった叔父様、対峙するは桜堂財閥の御曹司、悠賀様。
「と、取引だと!? こちらはお見合いで――」
「お見合いだったのですか。先ほどから、彼は立花様としか話していないように見受けられましたが」
「何……っ!?」
憤慨する叔父様と、それを軽やかに流す悠賀様。
私はただそんな二人を、呆然と眺めることしかできない。
どうして悠賀様はここへ? 何のために?
叔父様をなだめるでもなく、へつらうでもなく、ただ堂々と対峙し余裕の見せる悠賀様。
そんな彼を見ていると、心が期待してしまう。
期待をするだけ、無駄だと分かっていても。
「まあ、どっちにしても同じことですよ。私が、貴社も依恋さんもいただきますから」
悠賀様はそう言うと、こちらに笑みを向けた。
目が合う。
その優しく細められた瞳に、胸がきゅうっと掴まれてしまう。
――悠賀様、今なんておっしゃったの……?
彼の口から紡がれた言葉が、信じられない。
呆然としたままの私に、悠賀様は手を差し出した。
「おいで、依恋。君は君なんだ、立花財閥の『もの』じゃない」
悠賀様……。
涙が溢れた。
こんなに心から焦がれた人に、差し出された温かい手。
私はそれを掴もうと手を伸ばした。
「と、取引だと!? こちらはお見合いで――」
「お見合いだったのですか。先ほどから、彼は立花様としか話していないように見受けられましたが」
「何……っ!?」
憤慨する叔父様と、それを軽やかに流す悠賀様。
私はただそんな二人を、呆然と眺めることしかできない。
どうして悠賀様はここへ? 何のために?
叔父様をなだめるでもなく、へつらうでもなく、ただ堂々と対峙し余裕の見せる悠賀様。
そんな彼を見ていると、心が期待してしまう。
期待をするだけ、無駄だと分かっていても。
「まあ、どっちにしても同じことですよ。私が、貴社も依恋さんもいただきますから」
悠賀様はそう言うと、こちらに笑みを向けた。
目が合う。
その優しく細められた瞳に、胸がきゅうっと掴まれてしまう。
――悠賀様、今なんておっしゃったの……?
彼の口から紡がれた言葉が、信じられない。
呆然としたままの私に、悠賀様は手を差し出した。
「おいで、依恋。君は君なんだ、立花財閥の『もの』じゃない」
悠賀様……。
涙が溢れた。
こんなに心から焦がれた人に、差し出された温かい手。
私はそれを掴もうと手を伸ばした。