幸せな時間は長くは続かない。
シンデレラだって、12時の鐘が鳴ったら魔法は解けてしまった。
私はダンスを踊った後、悠賀様に解放された。
「終業時間だ。残業してくれて、ありがとう」
悠賀様はパーティー会場から私を連れ出し、地下に戻ってそう告げる。
それから優しい笑みを一度向けると、踵を返して行ってしまった。
そうか、これは仕事――。
舞い上がってしまった自分が恥ずかしい。
永遠の幸せなど存在しない。
幼少期に、それを十分に実感していたはずなのに。
そもそも悠賀様と私は、釣り合うはずがない。
たとえ自分が、立花家の人間ではなかったとしても、私は一介の清掃員。
悠賀様は雇用主であり桜堂家の御曹司なのだ。
ドレスを脱ぎ、私服に着替える。
寮への帰路をとぼとぼと歩きながら、私は何度もため息をこぼしていた。
――どうして悠賀様は、私をパートナーなんかに選んだのだろう?
桜堂家の御曹司である悠賀様。
パーティーのパートナーになりたい人など、山のようにいるだろう。
なのに、なぜ私だったのだろう。
悠賀様の気持ちが分からない。
――あんな雲の上の人の気持ちを分かりたいなんて、無理な願いなのかもしれない。
私は寮についてからも、部屋についてからも、悩みため息をこぼす。
いつの間にか朝が来ていた。
シンデレラだって、12時の鐘が鳴ったら魔法は解けてしまった。
私はダンスを踊った後、悠賀様に解放された。
「終業時間だ。残業してくれて、ありがとう」
悠賀様はパーティー会場から私を連れ出し、地下に戻ってそう告げる。
それから優しい笑みを一度向けると、踵を返して行ってしまった。
そうか、これは仕事――。
舞い上がってしまった自分が恥ずかしい。
永遠の幸せなど存在しない。
幼少期に、それを十分に実感していたはずなのに。
そもそも悠賀様と私は、釣り合うはずがない。
たとえ自分が、立花家の人間ではなかったとしても、私は一介の清掃員。
悠賀様は雇用主であり桜堂家の御曹司なのだ。
ドレスを脱ぎ、私服に着替える。
寮への帰路をとぼとぼと歩きながら、私は何度もため息をこぼしていた。
――どうして悠賀様は、私をパートナーなんかに選んだのだろう?
桜堂家の御曹司である悠賀様。
パーティーのパートナーになりたい人など、山のようにいるだろう。
なのに、なぜ私だったのだろう。
悠賀様の気持ちが分からない。
――あんな雲の上の人の気持ちを分かりたいなんて、無理な願いなのかもしれない。
私は寮についてからも、部屋についてからも、悩みため息をこぼす。
いつの間にか朝が来ていた。