結局お開きになるまで、瀧課長は寝たままだった。



なんとか叩き起こして、小林くんが支えて、居酒屋の外に出る。



…小林くん大変そう。



「針間!ちょっと!」




ガヤガヤとする中、時藤に呼ばれて、近づく。




「なに?」



「瀧課長、よろしく。お前、家近いだろ?」



そう言って、ん、と渡してきたのは一万円札。




「え?なんで私がっ」




「俺に任せろって言ったじゃん。じゃ!俺ら二次会行くから!」




そう言って、時藤が軽やかにタクシーを捕まえて、小林くんは瀧課長をタクシーに乗せた。



任せろって、こういうこと?!




部署のみんなはがやがやと盛り上がったまま、夜の街に消えていってしまい、



残されたのは、寝てる瀧課長と、私と、一万円札。




…どうしよう。