「瀧課長はいつもコーヒー飲んでますよね、しかもブラック!」


そんな可愛い笑顔で言われてしまうと、実はいつも格好つけてコーヒーを飲んでいるなんて言えない。


喉の奥に残る苦味に顔が歪みそうになるのを堪える



「あれが1番美味しいんだよ」




大人の余裕を見せないと、と大きな嘘をつく。


本当は甘いものに目がないけど、カッコ悪いからいえない。




「さすが大人ですね〜。私なんて甘いものが大好きで、まだまだお子ちゃまですね!」



にかっと太陽のごとく明るく笑う。


ああ、たまらない。眩しすぎてクラクラする。



「甘いものは食べないんですか?」



「…あまり食べないかな」



また一つ大きな嘘。



甘いものばっかり食べるのに。