鷹司は、額に浮かんだ汗を拭おうとした私の手をそっと掴み、反対の手を頭の後ろに回した。


そして、流れるように自然な動きで引き寄せると、私の唇を自分のそれで塞いだ。




「んっ……」




貪るような、それでいて痺れて溶けてしまいそうな甘いキス。

少し苦しいし突然でびっくりしたけれど、抗おうなんて気持ちはこれっぽっちも起きなかった。


鷹司は、私に上手く呼吸する隙を与えつつも、繰り返し唇を重ねてくる。


だんだんと頭がぼんやりしてきて、気が付けば私は、ソファーを背に押し倒されていた。




「申し訳ありません。ああやって貴女に触れられていると、覚悟していた以上にくるものがあったものですから」


「手は、出さないって話じゃ……なかった……?」


「キスくらいでは手を出したうちに入りません」


「私とあんたで、『手を出す』の基準に大きな壁があったみたいね。……んっ」