一気に脱力感が襲ってきた。

勇み足でここまで来てしまった私が馬鹿みたいだ。




「あーもう、返しなさいよ私の時間を!」


「申し訳ございません。ですが嬉しいです。この半月、夢と妄想の中でしか会えなかった貴女が、こうして目の前にいるのですから」


「……今妄想って言った?」


「……決してやましい意味では」


「びっくりするぐらい目が泳いでいるけれど??」


「気のせいです」



そう。気のせいか。


私は甘いクリームを口に押し込んでどうにか飲み込むと、大きくため息をついた。

甘い。限界。残りは鷹司に押し付けよう。




「だけど、その話を受けるつもりだったんなら、もっと早く言ってくれたら良かったのに。それとも言い出せなかったのは私のせい……なのかしら」




鷹司が初めて私の前に現れた日。彼は一年間必ず私に仕え続けることを誓った。