「ボワロー社のCEOから、日本の子会社の取締役に推薦された!?」




私の大声が響き渡ったのは、先ほどいたビルから程近い場所にあるお洒落なカフェのテラス席。

そういえばすっかりお腹が空いていたので、人気商品だというパンケーキを注文したはいいものの、添えられたクリームが想像以上に甘い。




「誘われたのは以前CEOにお仕えしていたときなので、もう2年近く前ですが」




蓋付きの紙コップに入ったコーヒーを上品に飲みながら、鷹司は何でもないことのように答える。



……鷹司から聞いた話をまとめてみると。

彼は今、確かにボワロー社という会社のCEOの下で働いてはいるが、それは執事として働いているわけではない。会社の知識を学ぶため、部下として働いている。


というのも、CEOは数年前、日本に子会社を設立するにあたり優秀な人材を求めていたそうで。

その時期に偶然執事として雇っていたのが鷹司。気まぐれで経営方針に助言を仰いでみたら、驚くほどに業績が上がったため、鷹司が日本人であることも鑑みて、取締役の座をオファーした。