だけどまあ、ここまできたら開き直るしかない。

私は、出入口が一番よく見える場所で腕を組んで立つ。



じりじりと、ゆっくりとしか進まない時間。



本当に鷹司は来るの? そもそも会ったところで、私はどうしたいの?

もし、心底迷惑そうな顔をされたら……


時間と共に気持ちも弱くなっていく。



……そして、その時は突然訪れた。




「っ!」




目に映る、颯爽とエントランスへ入ってきた美形の日本人男性。

着ている服は、いつも私の前で着ていた真っ黒な燕尾服ではなく、もっと一般的なグレーのスーツ。そのせいでずいぶんと雰囲気は変わって見えるけれど……間違いない。




「I've been waiting for you(待ってたわよ)」




昨日から英語ばかり聞こえる空間にいて、さらに自分も英語を使っていたせいで、自然とそう口から出てきた。