そんな累も、付き合ってくれるのはホテルに到着するまで。

当然、鷹司が出入りしているというビルに乗り込むのは私一人だ。


そしてそれ以外に辛かったのは、今まで泊まったことのないような質素なホテルで長旅の疲れを取らなければならなかったこと。硬いベッドではそう熟睡できなかった。

だけどちょっと嬉しいこともあった。ホテルやタクシー、売店なんかで、私の英語が意外にちゃんと伝わったのだ。



おかげで翌日、途中で道に迷いながらも、どうにか目的のビルにたどり着くことができた。


そのビルは、事前に写真で見て受けた印象よりもずっと大きい気がした。

鷹司が毎日このビルに出入りしているのなら、一階のエントランスにいれば会うことができるはず。

幸いこのビルはここの社員以外の人も多く出入りしているようで、謎の日本人の小娘がいたところですぐさま通報されることはなさそうだ。行き交う人たちに怪しまれてはいるようだけど。