その娘──岸井まいが通う高校は、立派な私立学校ではあったが、想像していたよりもいくらか質素な印象を受けた。

想像以上にセキュリティーが緩く、軽く本人を確認する程度であれば忍び込んでみた方が早い。それに、万が一怪しまれたとしても岸井家の関係者だと言えば見逃されるだろう。



そう判断して、用務員か何かのような顔をして堂々と校内で岸井まいを探した。……そしてあっさりと見つけた。

大勢の取り巻きを引きつれ、他の女子生徒に嫌がらせをする、非常に目立つ少女。


第一印象は、絵に描いたようなわがままな令嬢だった。

美人ではあるが悪役顔で、人を小馬鹿にした態度を隠そうともしない。


こういうお嬢様は、これまでいくらでも見てきた。

この態度に加えて教養もないというのだから、確かに社長の言う通り、どこか良家に嫁がせようと思ったらそれなりに教育をしてやらねばならないだろう。