だから、婚約者候補だなんて言っていた御園さんを頼るのは非常識だとわかっていても、頼らざるをえなかったのだ。

正直に事情を話せば、いくら温厚な御園さんでも、今度ばかりは良い顔をしないに決まっている。だけど事情を伏せて協力を仰ぐのでは、騙しているようでもっと気分が悪い。


迷った末、私は──正直に話す方を選んだ。


風邪を引いたときの埋め合わせとして出かけた日、私は御園さんにこれまでの経緯を──鷹司との関係に至るまで、全て話した。

静かに一通り聞き終えた彼は、ただ一言こう言った。




『それは絶対に見つけ出さなければいけませんね、鷹司さんのこと』




御園さんは、自分が鷹司と一緒にいた頃の記憶や人脈を惜しげもなく使って協力してくれた。

伝手を辿って辿って、とうとうニューヨークのとある大企業に出入りしているのを見たという情報を得たそのときには、一緒になって喜んでくれた。