終業式が終われば、午前中のうちに解散となる。

教室に残ったクラスメイトたちが夏休みの予定で話に花を咲かせる中、私はまっすぐいつもの送迎場所に向かう。

ただし、そこに停まっているのはうちの車ではなく、手入れの行き届いた高級外車だ。




「まいさん、終業式お疲れ様でした」




助手席のドアを開けてくれた御園さんは、そう言って人の好さそうな笑顔を浮かべる。




「御園さん。お忙しいのに本当にありがとうございます」


「いえいえ、乗り掛かった舟ですから」




この後、私はこのまま御園さんの車で空港まで送ってもらうことになっている。

……今回、鷹司の行方を追うために使った“伝手”というのは、ほとんど御園さんによるものだ。


社交界にもそこまで親しい人がいない私は、いざ「鷹司を意地でも見つけ出してやる」と決心しても、頼れる人が全くと言っていいほど思いつかなかった。