短いなら短いで手入れが大変だ、ということも朝起きてわかったけれど。全然まとまらなくて、ヘアクリームといつものカチューシャとでどうにか押さえ込んである。




「鷹司さん、岸井さんの執事を辞めたの?」




私と葉澄のやりとりを聞いていた奏多くんが、気づかわしげに尋ねてくる。




「……ええ」




私は大きくため息をつきながら、約半月前のことを思い出す。


あの日、最初に異変に気が付いたのは、朝になっても鷹司が起こしにこなかったときだった。


寝込んでいたことが嘘のように元気になった私は、前日のことで気恥ずかしさもあったから、初めは顔を合わせなくてラッキーだと思った。


だけど、朝食の時間になっても食堂に現れなかったからさすがにおかしいと思った。

その後どれだけ時間が経っても鷹司は私の前に現れなくて。


ふとドレッサーの鏡に目をやったとき、ようやくそこに貼られたメモを見つけた。